活動報告

鈴木晃志郎(富山大学准教授)の活動報告ブログです

 

GISTAM 2018に参加しました。


Category: 論文書いたよ   Tags: ---
先にも触れましたが、3月17日から19日にかけて、ポルトガル領マデイラ諸島のサンタクルスという小さな港町で開催されているGISTAM2018という国際会議に参加しています。

gistam

2013年の国際地理学会IGUの分科会CSRSでの発表は開催地が日本でしたし、ほかのいくつかの国際会議も韓国などの隣国でしたので、私にとって今回の国際会議は、2004年にドイツで開催された国際会議以来の、完全アウェー&ガチ査読付きの国際会議になりました。思えば2004年の私は博士課程を修了したばかり。空間認知の狭い世界しか知らず、先の見通しもなく、全てが五里霧中でした。恩師のご厚意で旅費を助成してもらって、単身ドイツへ乗り込んだのを懐かしく思い出します。それから10余年、こうして研究の世界で禄を食むことを許され、かつての空間認知とは全く違う分野に挑戦して独力で査読を通し、遥か12,000km 彼方のマデイラまで。しかし、その旅費はあの時と同じく恩師からの(但し今回は科研費分担者としての)助成。全てが不思議な巡り合わせで、私にとってはとても感慨深い出張となりました。

高校までは偏差値50もなかったぼんくらの私にとって、国際会議への参加は聴覚・言語障碍者の気持ちを痛いほど味わうことができ、人に優しい心を改めて涵養するいい機会です。今回はどういうわけかSpatial Analysis and Integrationとかいうセッションの座長も拝命し、畑違いの発表4本を仕切るという拷問もあって精神的にも久々に疲弊しましたが、自分のプレゼンではあたふた英語にもかかわらず質問をたくさん頂戴し、どうにかこうにか大意くらいは聴衆にも理解していただけたのではないでしょうか。これで投稿原稿も公開可能になりましたので、以下に公開します。

Suzuki, K. 2018. A Newly Emerging Ethical Problem in PGIS - Ubiquitous Atoque Absconditus and Casual Offenders for Pleasure. Proceedings of GISTAM 4: 22-27.

内容は、ここ数年間にわたって、色々なところで恥と汗をかきながら少しずつその精度を高めてきた地理情報倫理の構築に関する提言です。改めてそのおおもとを辿ってみますと、2011年にたまたま観光研究学会の研究グループで吉永さんや駒木さんを富山にお招きして研究会を開催した同年の冬にまで遡ります。このとき愛知大の駒木さんがフードデザートの話題提供をしてくださいましたが、そのときふと、ラスタデータで異なる値の境界線上に位置している対象者をどちらに分類するかをめぐって倫理的課題がないだろうかという疑問が湧いてきたのが発端でした。

「GIS使いはこういうGISの倫理的課題にどう答えているのかな?」から出発し、研究会をご一緒した江戸川大学の吉永さんを通じて倫理学会に顔を出させていただいて、情報倫理の研究者に疑問をぶつけたのが、2012年の日本倫理学会第63回大会のワークショップ『デジタル・マッピングの倫理-地理学と倫理学の観点から』。このときコメンテーターをなさっていた神崎先生(南山大学)からいろいろと教えていただきながら問題意識をさらに洗練させ、2014年には京都生命倫理研究会からのお招きで「ユビキタス・マッピング時代のプライバシー問題」と題しての話題提供。このときいただいたご示唆をもとに、「遍在する、隠れた神としての電子地理情報技術-地理情報科学における倫理的課題について」を発表したのが2014年秋の日本地理学会でした。翌年始めには、そこまでの議論を通じてまとまってきた問題意識をもとに「Web 2.0時代の地理学と『電子地理情報倫理』」(地理 60-1, pp. 48-51)を寄稿。アジ文っぽい書き方になってしまったものの、実質的にはこれが今回の論考の原型だったかも知れません。

ほどなく、地理学会での発表がご縁になって若林科研の『GISと社会』に加えていただき、昨年の『参加型GISの理論と応用』でのチャプター執筆、北陸G空間Expoの基調講演の機会をいただくところまで、構想からおよそ6年。駒木さんとの雑談から始まった研究課題が、6年の時を経てわらしべ長者のように膨らみ、ついには国際デビューまですることになるのですから、研究とは本当に人のご縁で成り立っているのだなと改めて痛感するばかりです。これまで学んできたことのほぼ全てを、この小論に注ぎ込んであります。査読者にAmazingと言われる経験なんて今後の人生でもないと思いますが、それだけ長い期間にわたって、多くの先生からのご示唆(と旅費)をいただいて、大きく育てられたのがこのテーマでした。ブラッシュアップに関わってくださったすべての先生方に、改めて感謝申し上げます。


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