活動報告

鈴木晃志郎(富山大学准教授)の活動報告ブログです

 

E-Journal GEOにダークツーリズムに関する論文が掲載されました


Category: 論文書いたよ   Tags: ---
私も所属している日本地理学会は、和文誌の「地理学評論」と、電子化された英文誌のGeographical Review of Japanの2つの機関誌をもっていますが、数年前に和文の第二機関誌としてE-Journal GEOを創刊しました。この雑誌は電子ジャーナルのみの出版で、どちらかというと学会向けというよりは、外部に向けた情報発信の意味合いの強い雑誌です。とはいえ学会員には地理評がありますし、そうでない人はそもそも投稿できないので、私も興味こそあれ、この雑誌に書く機会はないだろうなあ・・と思っていました。しかし意外にも早く、ご縁があって投稿機会をいただくことになりました。

鈴木晃志郎 2014. ダークツーリズムの視角からみたジオパーク,
      ジオツーリズムの可能性
. E-journal GEO 9(1): 73-83.


偉そうに提言なんぞしてしまっておりますが、恥ずかしい話、大学院時代は空間認知、その後も鞆の浦を研究してきた私とジオパークとの接点はほとんど無いに等しかったのです。その最初の切っ掛けをくださったのは、私をこの世界に留まらせてくださった(と個人的には思っている)菊地俊夫先生からのジオパークに関するシンポジウムへのお誘いでした。

当時、鞆の浦で架橋反対派のスローガンになっていたこともあって、世界遺産についてはある程度興味を持ち、論文も書いてはいたのですが、ジオパークについては確か、平野先生がお書きになっていた『ジオパーク』に対する書評をひとつ書いていただけでした。そんな私を(同じユネスコ絡みのプロジェクトであることから議論可能だと判断され)あのような晴れがましい舞台に加えていただき、その後も現在まで続く「ユネスコによる景観価値の序列化」と「生活圏」との関わりを論じるという私の研究テーマのひとつに、大きな啓示を与えてくださったこと、ひとえにご学恩以外の何ものでもないと思っています。

上述の経緯からも明らかなように、「ジオパークについて書きなさい」というお題を頂戴した私はいわば、「フィールドを知らないジオパーク論者」でした。そんな私に貢献する可能性が残されているとすれば、文献研究しかありません。しかし論文集めをしてみたところ、人文科学におけるジオパーク研究はその殆どがただの事例報告で、とてもレビュー論文に堪えるような水準にはないことが分かってきたのです。それが、締切りの二週間前。私は完全に行き詰まり、当惑してしまったのでした。

不幸な天災と、それに引き続く人災の余波で流行語大賞にもなった「ダークツーリズム」は、用語が一人歩きしている一方、アカデミックな解題を誰もしていないことを、以前から問題に思っていました。とはいえ現象そのものは、ざっくりと言えば「事故や事件にあった人や場所を見に行く」だけなので、ヒイヒイ言って横文字文献読み込むような内容でもないだろうと思って、真面目に読んだことはありませんでした。しかし、集めたジオパークの論文をよくよく読み返してみますと、そのどこにも「被災地観光」(過去の教訓に学ぶ観光)として、ジオツーリズムを論じたものがないことに気づきました。日本は地震・火山列島です。日本ならではのジオツーリズムがあっても良いはずだ、というところまで考えをめぐらすことができ、何とか一つの議論にまとめることができました。世界的にもこういう論点で論陣を張った論文はないので、良かれ悪しかれ多分パイオニア・・。そんな試論に近い切り口でもものが言える、ものが書けるという点で、E-Journal GEOと地理学評論の違いを、身を以て知ることになったのでした。

特集号のとりまとめを担われた目代先生には、当時も今も門外漢の私にものを書かせてくださったのみならず、拙稿の誤謬に多くのご教示をいただき、正確性を相当に引き上げていただきました。改めてお礼を申し上げたいと存じます。この小論が、どれほどご期待に添えたのか、正直心許ないところが多々あるのですが、本論で投げかけた小さな波紋が世界のどこかで誰かに良い影響を拡げていくことがあれば、望外の喜びです。

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テーマ : 自然科学    ジャンル : 学問・文化・芸術

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